怖いけど為になる、ロシアの強制収容所博物館
ロシアというとシベリア収容所とか抑留なんてことを連想するお年寄りもいると思うんですけど、日本人としては歴史的関係性や共産主義、冷戦時代などもありネガティブなイメージはどうしてもあると思います。
そんな現実を直視すべく(まあ,しなくてもいいんですけど)、モスクワのドフトエフスカヤ近くにある、強制収容所博物館、ムゼイ・イストリイ・グラガに行って来ました。
ここです。
ロシアの博物館に珍しく英語の表記が沢山あり、ある程度展示内容が理解できました。300rbと芸術系の美術館より安め。(この間、現代美術館へ行ったらドラえもんやキティーちゃん見させられて1000円で根に持ってます)
えー、ここ?という暗い建物。入口どこだよ…。
まあ、書いてあっても読めないし、読めても意味わからなかったりしますけどね。へへへ。
最近作られたもののようで、後述しますがセンス良く作られています。
入ると右に受付とクロークがあり、コートを預けてゆっくり見れます。
(これ、鉄の引換券。実は意味があるんです)
地味ながらセンス良い展示
収容所のドアがアート風に。。。逆に不気味さを高めてました。
12/21はスターリンの誕生日で、それに合わせて何かあるか調べたらイベントは何もないけどここが出て来たのでした。それにしても怖いおじさんだ。
こういう演出、好きです。
他人の運命を簡単に変えられる非道な官僚システムを表現しているのでしょうか。
展示内容からわかったことは、スターリン時代に粛清したり沢山犠牲になったのは勿論なのですが、実はそれより前から収容所はあって、都合悪い人を捕まえたり鉄などの生産の為に人を駆出したりする手段として革命後の内戦の中で生まれた怖い仕組みだったらしい、という事。
またその仕組みが一種の産業となり工業化の燃料となっていたこと。怖すぎます。
収容所もシベリアは一部に過ぎず大多数はモスクワの他、都市周辺に作られていたのが地図で示されていました。 革命、内戦からソビエトになる過程で権力に関わる人たちの欲望や思惑から次第に歯止めが効かなくなり組織化されてしまったのでしょうか。
このエスカレートしていく様はドイツのホロコーストと共通するものがありつつ、ロシアのそれは自国民に対して長きにわたって行われたところに別の恐ろしさを感じました。
全体にセンスの良さが光るこの博物館ですが、ナイスだな〜思ったのはクローク隣のロッカーやトイレ。 クロークの鉄製の引換券は、収容所の労働の代表的なものが鉱山の労役であり犠牲者の一部を預かった様な重みがありました。
ちなみにこのロッカーの脇には博物館に携わったデザイナーさんたちの紹介が掲示されていましたがイケアやザラのように若い女性中心のようでした。
トイレの中も収容所風?な冷たい雰囲気で照明がこんな。
スタイリッシュに建物の中の装飾にうまく雰囲気を練りこんでいて素晴らしい展示だなぁ、と感心してしまいました。
(壁にもこんな感じの装飾が。)
ふー、 怖いけど来てよかった。